引き分けを志向する将棋AIの挙動と考察
将棋AIというのは、もちろんだが、自分の勝ちを目指すことに特化している。そこで、私は引き分け(千日手、持将棋)を目指すことに特化した将棋AIはどのような挙動になるのか気になったので、実際に作って、実験することにした。
方法
実験するにあたって、山岡忠夫著『強い将棋ソフトの創り方』 の将棋AIをベースに引き分け将棋AIを作成した。通常、将棋AIは局面を評価し、勝率の高い局面に高い点数を、勝率の低い局面に低い点数を出す。そこで局面の点数が高い手を採用するのだが、このAIは局面の評価値が0に近い手を採用するように改造した。
結果
先手:自分
後手:引き分け将棋AI(一手三秒)
初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金 ▲3八銀 △7二銀 ▲5八玉 △1四歩 ▲1六歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8四飛 ▲7六歩 △9四歩 ▲9六歩 △7四飛 ▲2六飛 △3四歩 ▲7七角 △3三角 ▲6八銀 △4二銀 ▲6九玉 △8四飛 ▲3六歩 △7四歩

序盤は、普通の相掛かりで、特殊な一手というのは見られなかった。 ▲3七銀 △7三桂 ▲4六銀 △7五歩 ▲同 歩 △7七角成 ▲同 銀 △6五角 ▲5八金 △8七角成 ▲8八歩 △5四馬 ▲3五歩 △9五歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲3四飛 △3三歩 ▲5四飛 △同 歩 ▲9五歩 △3九飛 ▲5九金 △2九飛成 ▲6八銀 △1九龍 ▲7九玉 △5八香 ▲6九金 △8六桂 ▲7七金 △9八歩 ▲8七歩 △9九歩成 ▲8六歩 △8九と ▲7八玉 △8八と ▲同 玉 △6九龍 ▲7九銀 △9六桂 ▲8七玉 △7九龍 ▲7八桂 △8八龍 ▲9六玉 △7七龍

長くなってしまったが、一直線に(普通の将棋における)敗勢になってしまった。なのでここからはあえて負ける手を指してみる。
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▲9四歩 △同 飛 ▲9五角 △8七銀 ▲9七玉 △9五飛 ▲9六歩 △7九角 ▲8八角 △同銀不成 ▲9八玉 △9六飛 ▲9七桂 △7八龍 ▲2九歩 △8七歩 ▲3四歩 △7七歩 ▲9五歩 △9七銀成 ▲9九玉 △3四歩 ▲2八歩 △8九龍

ここらへんからは、奇妙な手を指してくる。当たり前ではあるが、詰んでるのに詰まそうとしてこないのだ。ここから、(普通の将棋で言う)勝ちを目指すのは不可能なので、負けを目指す。ただ、待っているだけでは向こうも詰ませてこない。どうすれば自分が負けれるか。それは自分の指す手がなくなればいい。とりあえず玉は動かせないので、盤上の駒、持ち駒をなくせばよい。なので自分も駒はとらず、持ち駒はできるだけ取らざるを得ない場所に打つ。
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▲同 玉 △9九金 ▲同 玉 △9八歩 ▲8九玉 △9九歩成 ▲同 玉 △7八歩成 ▲2七歩 △7七角 ▲8八金 △6八角引成 ▲2六歩 △7九金 ▲2五歩 △8六角成 ▲2四歩 △9八歩 ▲同 金 △7七馬引 ▲8八金 △2四歩 ▲1五歩 △7六歩 ▲3五銀(途中図)

なんだかんだでこうなった。

ここで △3七歩 が悪手だったように思う。▲5六龍でこの龍を取らざるを得なくなった。この▲5六龍で219手をもって相手が投了した。
考察
序盤、中盤は特に珍しい一手は見られず普通の将棋だったが、終盤から単に詰まさないように指した。あえて駒を渡すような手も見られた。今回は勝ったが、駒を取らざるを得ない状況をつくることはできたはずだと思う。もし仮に、引き分けを目指すAIと負けを目指すAIが戦ったらどうなるのだろうか。これも実験してみたい。