7月29、30日に香川県まんのう町で第49回全国総合文化祭 将棋部門の「女子団体戦」に出場しました。
琴平に着くと、どこからともなく音楽が流れてきました。
この音楽が妙に耳に残り思わず「シュラシュシュシュ♪」と口ずさんでしまいそうになります。
街並みも風情があってとてもいいところでした。
この2日間を振り返ってみます。ただし、将棋の局面については現在、観戦時を思い出しておこしていますので多少配置が異なることがありますが、ご了承ください。
さて、大会会場は「スポーツセンターまんのう」
何度大会に出ても初戦は緊張するもの。指し手に固さがありました。

1回戦vs高田高校(三重県)
三人ともうまく大駒を成りこむこと成功し、3-0で勝ち
2回戦vs鶯谷高校(岐阜県)
さて、いきなり昨年度の準優勝校を引き当てました。

まずは三将戦。

角換わり棒銀を受けた局面。
ここで、相手は△同銀成。ここが勝負の分かれ目で実戦は、△同銀成▲同銀△8六歩▲9八銀△8七角で猛攻を食らってしまいました。この後も懸命に粘りましたが破れてしまいました。
さて、この△8七銀成には▲同金!が正解で、これで相手の猛攻は問題なし。
具体的には△8六歩に▲7七金と寄ることでき、さらに△8七角には▲7八銀で8七の地点をがっちり受けることができる。

さて、副将戦は、相居飛車で難解な局面でしたが、3五銀にいた金を自玉付近の6六まで引っ張ってきて手厚く指して勝ち。
1-1で残った大将戦。

銀得でお互いを飛車をおろしあった局面でこちらが優勢な状況。ここで△9九飛成に▲5六歩が秀逸な一着で、△同歩には▲5七歩△同金▲6五桂が厳しく、後手は持ちこたえられない。したがって、相手の△6四歩が鍛えの入った受け。
数手進んだのが次の図。

うまく自陣を固めながら攻めの拠点を作ったところ。ここでは▲4六桂ならば明快に勝ちだっただろう。▲5四桂と▲3四桂の両取りが受けづらい。
本譜は▲5四香。これももちろん良い手だが、△5七桂の攻めがあったり、本譜のように△6一歩で粘られるとやや厄介である。
さらに数手進んで次の図。

相手がうまく嫌味をつけてきた局面。これは数手前の▲5三歩~▲5二金がやや重く、ここぞとばかりにカウンター。どこかで▲7九歩で相手の竜の利きを止めておれば、優勢は揺らがなかっただけに惜しかった。
ただ、大将は高校3年生。前日の遅くまで共通テスト模試を受けての対局なだけにここまでよくうまく指し回し、かなり健闘したと思う。
結果は、チーム1-2で負け。
3回戦vs水戸葵陵高校(茨城県)
昨年の1回戦で対局していたようです。昨年の全国総文。
2回戦で負けて萎縮するのを気にしましたが、今回は昨年よりひと回り成長したせいか自信をもって対局に臨むことができました。結果は3-0で勝ち。
4回戦vs富岡高校(群馬県)
この対戦においても3人ともうまく指し回して3-0で勝ち。
結果、3-1で予選通過。勝ち数的には、3-1のチームの中では最も勝ち数を稼いでいるため、上位通過と思われましたが、スイス式(に似た方式)という方式(詳しくは調べてみてください)のため、2回戦で負けたのが響いて10位通過。
決勝トーナメント1回戦vs八戸高校(青森県)

三将戦:棒銀をうまくいなし、相手の陣形の不備をついて馬を作って優位に立つ。

この局面は▲8一馬と飛車を取りたくなる局面。しかしそれが罠で、△5七桂成▲同金△同角成の瞬間が王手飛車で▲6八飛とするが、△5八金から飛車を捕獲されると、玉が狭く、△3九飛くらいで負けそうであった。
その罠をかいくぐって▲4六銀が素晴らしく、この丁寧な一手を指せるようになったのはほんとうに素晴らしい。そのまま押し切って勝ち。
副将・大将も難解であったが、うまく立ち回って勝ち。3-0。
準々決勝vs都城泉が丘(宮崎県)
対局前に対戦相手の情報を聞くと、三将と副将がウォーズで初段?道場で三段?そういった恐ろしい状況。
大将は石田流から綺麗にさばき、勝ち。
三将戦

相手の棒銀。△3五歩が工夫の一着で△2四飛から▲2八飛で飛車をくぎ付けしたのが相手の素晴らしい構想。
しかし、ここで▲4六角がすばらしい切り返し。以下、△3四飛▲9一角成△7三角▲同馬△同桂▲3六歩△4六角▲3七香!

これで鉄壁を作って優勢。
ただし、角の斜めラインにはご注意を。ここから△4二銀?▲4八飛△6四角▲3五歩

香車を活かして飛車取りに指したいところだが、△2四飛が返し技。さらに▲2八飛や▲2六角でも△3六歩が厳しく、取った香車が相手の駒台に乗ってしまいそのまま押し切られてしまった。
さて、残った副将戦は難解な中盤戦。

お互い角にプレッシャーがかかっており、その角を攻めながら相手玉に迫りたい局面。ここでは▲3二とが角取りになっており、△3六角に▲2四角~▲4二とと迫れば、よくなったいただろう。
数手進んで次の局面。

かなり食いつかれたが、その前の▲7九銀からの▲7八銀打!は鍛えの入った一着。こういったところも、昨年から比べるとかなり進歩したところだろう。さらに△6五馬▲8六香△7五金に▲7七金!△8六金▲同金△8四香▲8五桂△5五歩▲1一竜△5六歩▲6八銀打!△4九龍▲7七桂左!

流れるような駒運びには感動したが、やはり30秒将棋。どうしても相手陣が手付かずなこと・ずっと受け続けていること・歩切れであること・自玉の頭が危険なこと。
このような不安要素は30秒将棋では、形勢が良くても負けやすい要因であることは間違いない。実際に24,25,ぴーーーーー、29秒で着手!これが何十手も続けばミスは出るもの。だからこそ将棋は怖い。
「終盤は指運」とは言われますが、予選2回戦にしろ、準々決勝にしろ、この指運をつかみ取ることができなかった。来年この舞台でリベンジできるようにがんばってくれるだろう。
そして、今回つかみ取れなかった指「運」をつかみ取れるように今一度真摯に向き合うことになるだろう。
大会結果
女子団体の結果・およびその他の部門の結果はこちらを参照してください。
白陵女子は、昨年同様5位入賞!
2連続で5位入賞は本当に素晴らしい結果です。

団体メンバーからは、喜びより悔しさがひしひしと伝わってきました。この「悔しさが人を強くする」。今の状態から一皮むけるいいきっかけを得たととらえ、これからの部活動に活かしていきたいと思います。