8月3日~4日に開催された第46回全国中学生選抜将棋大会の振り返ろうと思います。
2日に抽選が行われ、開会式リハーサル時に対戦相手がわかりました。
4人リーグでしたが調べてみると、3人とも小学生の時から活躍されている方で、特に初戦の相手は、アマチュア予選を勝ち抜き、女流に挑戦するほどの実力者。かなり厳しいリーグに入ったようです。
1回戦。
戦型は相中飛車。相手が先手。

お互いに向かい飛車に振り直した局面。数手進んで次の局面。

何気ない局面ですが、飛車先の歩を交換しましたが、この後の展開を考えると、△2二飛では▲3一角があるため、△2四飛の方が良かったと思います。

さて、ここでは、9三の地点を狙ってきているので、角をどかせたい局面。
相手は、4六銀型で受け重視の構えなので、簡単には攻め倒されることはないです。したがって、△8二銀~△6四歩~△6三金左~△7四歩というようにどんどん盛り上がっていけば、角を圧迫することができます。本譜は△3五銀で決戦を挑みましたが、▲3一角の隙があり、やや先手が指しやすそうです。

数手進んで、次の局面。こういう局面はセンスが問われるところ。本譜△5一飛は悪い手ではないですが、△5五歩▲同歩△同飛は▲5七歩で傷を修復されます。したがって、△5五歩▲同歩△5六歩のように指し、次に△4五桂や△5七歩成▲同金△6八銀のような攻めもあり、後手が勝ちやすかったように思います。
もちろん、△5五歩に▲7五歩がありますが、そこで△5一飛と指したり、△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩△5六飛のようなさばきも気持ちいいです。(▲5一銀がありやりにくいですが、それ以上に△5七銀が厳しいようにも見えます)
以下数手進んで次の図。

本譜、△5五同飛と取りましたが、▲5六歩でも▲5七歩でも、後手が後手を引くことになり、△5五飛が一手パスとなってしまいます。強くなればなるほど「取る一手」を「疑う」力が求められている気がします。したがって、ここでも、△5六歩や△5七歩~△5八銀をねらっていけば、まだまだいい勝負だったように思います。
さて、数手進んで次の図。

さあ、チャンスが回ってきました。ひと目は△5八銀からゴリゴリけずっていく指し方。ただし、これは注意が必要で、銀を渡すと▲8三飛成△同玉▲7五桂△7二玉▲6一角成が必至になるという怖い一着があります。したがって本譜は△8二銀としましたが、▲5六桂が薄くなった6二の地点を狙われた勝負あり。ここでは△6八角とすることで、次の△7七角成が厳しく、それを受けて▲6六角だと今度は▲6五角がないので、△5六飛と走りやすかったでしょう。そうなれば、▲5九歩△5五銀で角をとったり、△6六飛▲同歩△7七角成で飛車をいじめつつ△5六桂を狙って逆転もあったと思います。
予選2回戦。
今度も相手が先手で、相振り飛車。女子は振り飛車党が多いようです。

キントレ流の攻めで端を攻めた局面。ここで、△2四銀では、棒銀した意味がない。ここはいろいろとチャンスがある局面で、
①△7七角成▲同飛△8五桂▲7八飛△9七桂成▲同香。簡単に優勢になるわけではないが、こういう指し手は石田流にとっては嫌な手だろう。
②せっかく端を押し込めたのだから、△2五桂~△2六歩▲同歩△同銀▲2七歩△1七銀成の端突破。これも相当先手がつらい。
さて、数手進んで次の局面。

先手が金無双の崩し方、▲6四歩△同歩▲6五歩の攻めを繰り出し、それを見切って受けた局面。やはり全国大会になると、基本の攻め方は自然と繰り出してくるようです。
さて、問題はここで、本譜は△6五歩に▲6四歩で厳しいくさびが入ってしまった。▲6四歩に代えて▲6五同銀も厳しい。こういう局面では、相手の駒を進軍させては勝てないので、△6二飛で徹底的に受けるとか、△5二金で攻めに備えるとかするしかない(△3一角成があり、現状飛車は働く未来が見えないので、△6二飛の方がいいだろう)。そのあと、△5六歩▲同歩△5七歩▲同金△4五桂ならば相手陣にも火が付き始め、戦いになる。現状では相手陣が手付かずで、攻め合いは確実に自玉が薄い後手が負ける展開になる。
数手進んで次の図。

6三のこびんがスカスカで今にも死にそうな局面。したがって、△5二金が第一感だが、▲3一角成が嫌なところ。その2つを消すならば、△7一桂。せっかくもらった桂なので、ここは我慢のしどころ。節約してはいけなかった。後手としては、△5六歩が楽しみであり、そのチャンスが回ってくるまで耐えれば、後手有望だったのではないかと思う。
数手進んで次の図。

玉が不安定で今にも死にそうな局面。こういう場面で自力が求められる。まず考え方としては、相手は歩のみでまだ簡単には自玉はつぶれない。自玉をできるだけ固めたい。遊んでいる駒を使いたい。以上から、正解は△7一銀で次に△6二銀~△5三銀右のように指せば、まだまだチャンスはあっただろう。
考え方としては、この局面に何指したいか△5三銀打すれば自玉が引き締まるな・・・→8二銀をもっていこう という発想です。
以下、相手にうまく手をつながれて負けてしまいました。
今回の全国大会では、予選通過できませんでしたが、全国大会という大きな舞台でかけがえのない貴重な体験をできたと思います。来年、さらにパワーアップしてこの舞台に帰ってこれるように取り組んでいくことになるでしょう。