2025年5月5日、尼崎稲園高校にて兵庫県高等学校将棋選手権大会が開催されました。

男子団体戦
白陵からは2チーム出場。
予選では
Aチームは、尼崎稲園Bに3-0、須磨Bに3-0で予選通過。(昨年優勝によりシード枠)
Bチームは、尼崎小田に2-1、甲南に3-0、須磨Aに3-0で予選通過。
決勝トーナメントでは、
白陵A-灘A。
副将戦は、相手にうまくさばかれ、相手の堅陣が遠く負け。
三将戦は、玉頭戦に持ち込むことに成功し勝ち。
残った大将戦では、角換わりvs右玉で自陣が薄く苦しい局面。しかし、玉頭に嫌味をつけることができ、そこから手を作ることができれば・・・という流れでしたが、攻めのチャンスが回ってこず、負け。
チーム1-2でベスト8敗退でした。
白陵B-雲雀丘A
大将戦は、相手の丁寧な指しまわしでチャンスが回ってこず負け。
副将戦は、やや指しやすそうな局面ではありましたが、自玉が薄い&狭い&角の斜めラインから飛車を攻められて、難解な指し回しを要求され、そのまま押し切られました。
三将戦は、相手の中飛車にうまく対応し、終盤では優勢を築きましたが、相手の脅威の粘りで相手陣の玉が見えなくなり、負け。
チーム0-3でベスト8敗退でした。

女子団体戦
1回戦:滝川第二に3-0で勝ち。2回戦:尼崎小田に3-0で勝ち。3回戦:尼崎稲園に2-1で勝ち。
決勝は白陵-雲雀丘。
昨年度の決勝も白陵vs雲雀丘で、詰むや詰まざるやの大熱戦を制し、白陵が優勝した。
ここまで白陵は3連勝、雲雀丘も3連勝で、チームオーダーとしては、白陵のエースを外され白陵としては分が悪い当たり。
さて、白陵、雲雀丘ともに1勝ずつとり、残り1戦勝った方が優勝となる。
この一戦は手に汗握る展開で非常に面白かったので紹介したい。
先手が白陵、後手が雲雀丘。

この局面で、△8六同銀では▲8七歩や▲4四歩で抑え込むことができる。本譜△8七歩が良い手で、▲同銀は△9九角成、▲同金は△8六銀で、先手困ったかと思われたが、▲7七銀と交わしたのが良い手。以下、△8六銀に▲4四歩で角道を止めたのも素晴らしい一着。△7七銀成に▲同金で、事前に△8八歩成を交わしたのも素晴らしい。
そこから数手進んで次の図。

こういう局面で何を指すか難しいもの。
①相手の攻めを抑え込む(8筋を止める)②4筋を攻めるのどちらかが考えられるところ。
②4筋を攻めるならば、▲5三銀のような手が考えられるが、以下、△8八歩成▲4四銀成△同銀▲同飛△4三歩で後手を引くのが気になるところ。お互い自陣に火がついているような中盤~終盤にかけては後手を引くのは避けたい。
では、①はどのような攻めか?相居飛車ではよく出てくるが、▲8三歩△同飛▲7四銀△8二飛▲8三歩で抑え込む。そうすれば、駒得が生きる展開で▲6三銀成から銀も活用することができる。また、▲8三歩に△7二飛は▲7三歩△同飛▲8二歩成△8八歩成▲7四歩が厳しい。(△同飛は▲8三角)
本譜は、②の▲5三銀を選び、△8八歩成に▲4二歩。ここでは、▲4二歩に代えて▲7四角がよかった。次に▲8三歩と飛車を抑え込めれば、負けにくい。▲4二歩は△3一玉で玉を逃がしている感触がやや悪い。できれば飛車のラインに玉がいてほしい。その方が攻めの当たりがきつくなる。
そこから数手進んで次の局面。

▲8三歩とたたいた局面だが、相手が銀しかないことを見越すと▲2二角も面白い攻め。次に▲3一角打があり、妙に受けにくい。もちろん▲8三歩△同飛で飛車の横利きを外してから▲2二角はもっと厳しい。したがって、△7二飛と寄るが▲9七角が気付きにくい好手。△6四銀に▲8八角で自陣が安定し、また攻めに専念できるようになった。

ここから数手進んで次の局面。

△8六歩は拠点を作り、△8七銀からの攻めを見ている非常に嫌らしい一手。しかし、これを上回る好手で切り返す。
正解は、▲4五歩。

△同歩は▲1一角成や▲4四歩△3二銀▲4五飛が厳しいので、先手優勢が確実となった。後手は仕方なく△5五銀打と受けるが、▲4四歩△同銀引。
これに対して、▲同角と取っておけば2枚替えで金得+玉の堅さで上回り勝勢であった。もしくは、▲2二角で確実に駒得を狙うのもあっただろう。本譜は▲4五歩に△8七銀。

この局面では30秒の秒読みで、正着を指すのが難しい状況。△8七銀と攻めるならば、△5五銀打とする前の方がよかっただろう。本譜は、角金取りに構わず、▲4四歩と取り込んだのが好手。放置すると▲4三歩成が投了級なので、△4四同銀と取った。
ここですぐに取らず、考えているのも素晴らしく、①▲同飛②▲同角③▲4三歩が考えられる。①は△4三歩と受けられて、角・金取りが残っているのが嫌らしい。②▲4四角は角取りを交わしながら銀を取る素晴らしい一着。ただし、△4三歩で角・金取りなのがほんの少し嫌。③こういう局面ではよく出てくるのだが、△4三歩と受かるスペースを消してから▲4四角を目指すとより勝ちやすくなる。

さて、この局面でも考える。素晴らしい。通常であれば、ノータイムで▲1一角成で問題ない。特に①駒得+②堅陣なので、慌てて寄せ切る必要はない。そういう局面では▲1一角成~▲2一馬~▲4七香のように足し算をすると勝ちやすい。
しかし、ここでは後手陣に詰みがある。詰めチャレで出てきそうな局面だが、わかるだろうか?考えてみてほしい。

この局面は4三の地点がうすく、▲2一馬~4三の地点を狙ったり▲4七香の足し算で攻めることもできる。本譜は、▲4四歩!これもプロ好みの一着で、△同歩に▲4三歩や▲4四馬で後手陣は受けが利かなくなる。
しかし、やはり30秒で正着を指し切るのは難しいもの。▲4四歩△同歩▲同飛△4三歩▲4一金!

「玉は下段に落とせ!」これは寄せの基本の格言だが、「金はトドメに残せ」も重要な格言。下段に落とすなら▲3一角がよかった。△同玉は▲4三飛成で、竜と馬の挟撃があり、受けにくい。この一戦を見守る応援団も△5二玉や△3一玉を願ったが叶わず△4一同玉。何が嫌かというと▲4三飛成△4二歩▲5四竜△3二金!が今度は逆に自陣が挟撃態勢を築かれてしまう。これは有名な必至次の一手で逆転負けになる。

本譜は、△5一玉に▲4四馬△3八金!。先手陣は受けがない必至状態。つまり、後手玉を詰まさないと負けの局面。
先手は持ち駒がたくさんあり、簡単な詰将棋。考えてみてほしい。
しかし、本譜は▲5三香。
これには①△6二玉と逃げる手がある。これも後手玉は詰みだがそう簡単ではない。有段者ならなんとか詰ませたいところ。
②△5三同銀▲同竜に△5二金。これも後手玉が詰みだがやはり有段者なんとか詰ませたいような局面。
本譜は③△5三同銀▲同竜△5二金打だったため、▲4二銀の一手詰め。
中盤から手筋の応酬+詰むや詰まざるやの白熱した戦いの末に勝利し、優勝することができました。
2025年7月29~30日にかけて香川県で開催される全国高等学校将棋選手権大会に出場することが決まりました。
明日は個人戦。
団体で優勝した選手は個人戦への出場はできないが、個人戦でも頑張ります。